実は“整備士泣かせ”の深い理由があります
**はじめに:
「冬になるとエンジンのかかりが悪い…」というJB64オーナーの声**
毎年、寒くなってくると
「ジムニー(JB64)が朝かかりにくい」
という相談が増えます。
実はこの症状、単純なバッテリーやプラグだけではなく、
エンジン内部の“バルブクリアランス”が深く関わる場合があります。
しかもこの調整、JB64に搭載されている R06A エンジンでは
整備士でも覚悟が必要な大作業なんです。
🔍 原因となるのは“バルブクリアランス不良”
スズキからも
「冬季の始動性が悪い場合、バルブクリアランスの再調整を行ってください」
という技術情報が出ています。
ただし、この“再調整”が曲者。
🔧 R06Aエンジンのバルブクリアランス調整が大変な理由
① 昔のK6Aのような“シム調整”ではない
K6Aはアウターシム方式で、
シム1枚交換すれば調整完了でした。

しかしR06Aは…
✔ リフターとシムが一体
✔ 厚みごとに部品(リフター)を丸ごと交換
② 調整箇所が全部で12カ所
- 吸気:3気筒 × 2バルブ = 6カ所
- 排気:3気筒 × 2バルブ = 6カ所
合計 12カ所すべて測定 → 計算 → 交換候補を選定。
これが本当に大変(笑)
つまり、
1箇所の調整=リフター交換になります

③ 正確な冷間測定 → カム脱着 → チェーン固定が必須
調整の手順はこうなります:
- 冷間状態で12カ所すべてのクリアランス測定
- タイミングチェーンを外し、落ちないように固定
- カムシャフト脱着
- リフター取り外し
- 現在のリフター厚みを計測
- メーカー指定のクリアランスになるよう“必要な厚み”を計算
- リフターを注文(場合によっては12個)
- 部品到着後、再度カム脱着・組付け
- もう一度12カ所すべて再測定
完全に分解整備レベルの作業です。

④ リフターの厚みが“ピッタリ無い”ことがある…

ここが現場の闇(笑)
R06A用リフターは
0.01mm刻みで全部そろっているわけではありません。
計算上必要な厚みが
- ラインナップに無い
- 0.02mmの間に“飛び”がある
…というケースも多い。
その場合は整備士が
- 冬の始動性を優先して“広め”にするか
- ノイズを抑えるため“狭め”にするか
経験で判断します。
⑤ メーカーは「調整して」と言うけど…部品待ちが現場では地獄
冬になると全国で同じ症状が出るので
リフターが欠品 → 1〜2週間待ち
は普通にある話。
私のところには
- JB64で2台
- ハスラーで1台
- スズキディーラーからの外注依頼
合計3台の作業を担当しましたが、
どれも部品待ちで長期化しました。
🔥 メカノイズが大きくなる問題(整備士の頭を抱えるポイント)
クリアランスを広めにすると
→ 始動性は良くなるが、夏にカチカチ音が増える可能性
狭めると
→ 音は静かだが、冬に再発リスクがある
実際に私のところでも
「ノイズが大きい気がする」とお客様から相談され、
バランスを考えて再調整した経験があります。
🌡 なぜ冬に特に悪化するのか?
金属が冷えて収縮するため
→ クリアランスがさらに狭くなる
→ 吸気バルブが閉じきらず圧縮が下がる
→ 初爆が弱くなる
これが“冬だけかかりが悪い”理由です。
🚗 まとめ:JB64の冬季始動不良は、深いところに原因がある場合も
もちろん、
- バッテリー
- プラグ
- オイル粘度
- スロットルボディ汚れ
- 燃圧低下
など一般的な原因もあります。
しかし、特定の初期ロットでは
バルブクリアランス不良が原因
というケースが実際に存在し、
再調整は高度で時間のかかる作業になります。
🏁 もし始動性が悪いと感じたらご相談ください
軽い整備で改善するケースもありますが、
深い原因の可能性もあるため
早めの診断がおすすめです。
ご相談・点検はお気軽にどうぞ。


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